建築というものは、どれだけ自由な発想のもとで考えられたものであろうが、最終的には物質によって形づくられ、そして人間の非常に曖昧な五感によって知覚される以上、常に現実的にならざるを得ず、また、絵画や彫刻とは違い公の場にさらされる以上、社会に拘束されていると言わざるを得ません。
そして、今の社会ではコンピューターに代表されるようにさまざまなことが非物質的になり、物凄いスピードで物理的束縛から解き放たれつつあるにもかかわらず、建築はそのスピードについて行けないように思えます。建築は一般的にハードの分類に属し、ソフトに重点を置かれる今の世の中で、ハードとソフトといった対立した図式が成り立っています。
しかしながら、建築と社会、ハードとソフトといった対立する二つの事象をもっと自由に、またその関係性の在り方が互いに喚起し合う事象としてその境界を崩すことが出来るのではないかと考えています。
かつて、フランクロイド・ライトが「この建物ができるまで、この敷地がこんなによい敷地だとは気付かなかった」といった意味のことを言っていたそうですが、環境というものは、建築との関係性を持たせることでその良さを引き出せるものです。
また、日常的な環境の中にほんの少し非日常的な環境を挿入するだけで、日常的な環境が違うものに見えてくるといったこともあるはずです。
このように、建築と社会(環境)がインタラクティブな関係にあるという認識のもとに、両者の新しい関係性を求めながら今後の建築の在り方を考えています。